さかさまおっぱいについて

 入れてあるシリコンバッグが回ってしまう、実際回ってしまっている、という問題の話の続き。

 形成のドクターの説明をはしょりますと、こういうことになります。
 
●バッグが”正常な位置”に戻れば、今下がっているかのように見える乳首の位置が右側と同等に上がり、左右のバランスは問題なくなる

●戻すための方策として、さらに1ヶ月のマッサージを試してみる。(その際、方向を意識して、ぐるぐると回す、ということをする)

●1ヶ月でどのくらい動くか(戻るか)観察したのち、次の手を考える。

●全然戻らない場合(!)もう一度麻酔をかけて切って(!)バッグをぐるっと回すという手術をすることになる。

●その際、また再び回ってしまうのを避けるために、上のところを皮膚に縫い付けて”固定”する、ということをすることもある。

「でも、それはひきつれたようになることもあるので、あまり・・・」

 審美的ではないってことですか?先生?

 あたしはともかく、あまりの驚きで、口が半開きでした。
とりあえず、「今は深く考えないことにしよう。質問は次回にしよう」という判断を採用することにしました。

 生乾きの乳首の皮膚のことと、ずれたバッグのことと、両方考えなきゃいけないわけで。
 あんまり心配しても、何のトクにもならないからな。

 実のところ、ずれたバッグの話を聞きながら、あたしが思い出していたのは、昔読んだ漫画『サザエさん』の中のギャグです。

 サザエさんのブラジャーのカップが、電車の中かなんかでもまれてぐるっと背中に回ってしまう、という・・・・。
 背中にふくらみが回ったサザエさんが赤面。(ぷぷっ)

 笑い事じゃないぞ!と言ってみたところで、やっぱりこれは笑うしかないでしょう。あははははは。

 まあ、背中に回ったりはしないけども。
 下に落っこちちゃったり、上にずり上がって来たりもしないけれども。

 さかさまになるほど回るってことは、戻ってもまたずれる可能性があるわけで。
 「しまった、明日デートなのにおっぱい回ったまんまだ」とか、そういうことになる人も全国にはいるんだろうな、などと想像がふくらんでしまいます。

 同じ執刀医に全摘同時再建の手術を受けた患者さんで、やはりこのようにバッグが回ってしまった人で、「マッサージをして戻った方もいらっしゃいますから」と、ドクターはあっさりとおっしゃいました。「1ヶ月後にまたいらしてください」

「はい。で、マッサージを頑張るわけですね」
「そうです。1ヵ月後に様子を見てまた切るかどうか相談しましょう

誰でもそうですが、切るのはなるべく避けたいです。

 というわけで、ギャグまがいの状況を抱えたまま、1ヶ月後の診察を待つことになったのであります。

 つづく。