乳頭を作る手術、およそ30分の間、あたしはドクターに聞いてみたいことを質問することにしました。
考えてみたら自分の形成のドクターと雑談ができる機会などめったにありませんから、無駄にしたらもったいないです。
マイクロ・サージャリーや腹直筋皮弁など、自家組織再建について、先生はどう考えるか、脂肪注入(自分のおなかや太ももの脂肪を取って胸に注入する方法)は実際のところどのぐらい効果があるのか、仮に乳首を刺青によって着色した場合、その色は取れてきたりしないのか、などなど。
話に出た事柄には、今まで知らなかったことなどもあったので「ううっ。メモ取りたい」などと思ったけど、目隠しされているから、メモは無理。悪い頭でうろ覚えするしかないです。
その中で印象に残った話はこれ。
どんな再建方法も1年間ぐらいはきれいなのは当たり前、というお言葉です。
「脂肪注入という術はどうなんでしょうね?」というあたしの質問に対して、先生も「どうなんでしょうね」と、言った後、ずっと形やボリュームが保てるかどうかは、まだ臨床例も少ないし、長期の記録がないのでわからないのではないかという話になりました。
そのときに「1年間ぐらいはきれいなのは当たり前なんですけどね」とおっしゃったわけです。
脂肪注入は目だった新しい傷がまったくできないことや、シリコンより感触が柔らかいことなど、全摘の人はこれだけで再建は無理だとしても、温存でボリュームがひどく失われた人には朗報とも思える点が多々あるかと思っていたのですが、もしもそれが「保てない」のであれば、かなりショックです。
だって、高いんだから。
「自分の脂肪だから、体にある程度吸収されてしまうっていいますよね。だけど1年しか持たないとしたらショックですねー」とあたしはため息をつきました。
将来再建した方の胸に比べて健側があまりにも見劣りのするボリュームになってしまったら、考えてみたいななどと夢みていたのですが・・・・。(もちろんそのときお金があればの話ですがね)
その他、入れた脂肪がしこりになることがあって、それが乳ガンの再発と紛らわしいため、乳腺外科のドクターも「嫌がることがあります」とのことです。
確かに検査のたびに「紛らわしいから組織診断しましょう」といわれて針を刺されるとしたら、かなり嫌です。
これからも技術は進歩していくでしょうから、問題はさまざま解決していくかもしれませんが。
検査に関して言えば、あたしは術後1年検査をしたばかりです。
”要経過観察”の”おでき”がありまして、エコーで診てもらいましたけれども、作った方の胸はマンモグラフィを撮っていません。
マンモグラフィは基本的に乳腺を見るものなのだそうで、先生は、「撮らなくていいと思いますよ。中には全摘なのにマンモを撮る病院もあるようですが、あまり意味はないと思います」とおっしゃいました。
無理にマンモグラフィの機械に挟んだために、(昔は一般的に使われていた)食塩水の入ったバッグがつぶれて壊れてしまったケースもあるそうです。
そういう話はつくづく気の毒です。
それでも皮膚の上にガンが再発するケースはゼロではないわけで。
こうした再発の検査上も、シリコンは筋肉の下に入っていますから、全く邪魔にはならず、一切紛らわしいことはないのだそうです。
マイクロ・サージャリーにも興味があるので質問してみましたが、ドクターは、新しい傷ができることを嫌う人も多いので、なかなか普及しないだろう、とお考えのようでした。
傷のことを差し引いても、最低でも2週間以上の入院といわれる自家組織の再建がどのくらい大変かは、あたしは想像するしかないのですが・・・・。
自然なやわらかさや感触のために、我慢する人はこれからもたくさんいるだろうな、とあたし個人としては思います。
筋肉を一切切らないで、皮膚と脂肪だけのフラップを取る方法は、かなり負担が減るようですが、傷は同じようにできるし、シリコン並みに負担のが軽いということはないそうです。
刺青で作った乳首の色については、年数を経てもほとんど変わらないそうです。ただし、本物の乳首の方の色が変わってきますから、「そっちに合わせて後で修正なさる方もいますね」とのことです。
再建はどんな方法でも、要するにこの左右のアンバランスとの戦いなんだなあ、と思います。
健側の乳首を一部とって移植して、それが生着するというのも、考えてみたら不思議です。
「不思議なんですけど・・・・どこに着くんですか?皮膚の下の脂肪はほとんど残っていないんですよね?」という質問に対しては、
「でも比較的残っているほうですよ。今、皮膚を付けているところですが、脂肪の上に置いています」というのがお答えでした。
鎖骨の下の皮下脂肪がえぐれていて、皮膚の下の筋肉が見えるので、皮はどこも薄くて脂肪が少ないのかと思っていましたが、そうでもないようです。
少しほっとしました。
オフィシャルなおしゃべりではありませんので、ここに全部は書きませんが、はっきりとわかったことがあります。
それは、ドクターが自分の仕事に大きな自信と確信を持っていらっしゃる、ということです。
シリコンインプラントによる乳房再建のメリットはさまざまありますが、改めてそれを確認するおしゃべりになりました。
デメリットの話(リンパを郭清した部分のへこみは補えないことや、硬さがあって、ぜんぜん老けないことなど)もしたかったのですが、またの機会があるでしょう。 (あるのか?)
まみっち
う~む、乳首を移植してもらいながら、これだけの会話がやりとりされたということが、想像すると何より不思議な光景だぁ。
私、治療先の亀田病院のセンセが考案した、FSM法っての受ける予定です。温存手術後の欠損部に、体内で溶ける材質で作ったメッシュを入れて、「水がたまる」状態にするってことらしいです(下記リンクの3つ目以降にレポートあり)。
ttp://agatha.smile.mepage.jp/bbsarchive39.html
これも水が抜けちゃう人がけっこういるらしく、もって1年ぐらいなのかも。異物が入るわけなので、感染症やアレルギー反応のリスクも1割ほどあるとか。だめもとでお願いしようと思ってるんですが、どうなのかなぁ。
SYNDI
★まみっちさん
水がたまるように!
この術は初耳でした。
色んな方法があるんですねー。
新しい術式が発達する過程にはある程度の試行錯誤は不可欠なのでしょうね。出来上がりにしろ、”耐用年数”にしろ・・・。
体内の水であるなら害は少ないようにも思えるけれど、あたしの場合は個人的にはアレルギー体質なので、それが心配かな?
まみっちさんが治療した病院でできる点は安心材料ですね。
chami
私はあのドクターに、鎖骨の下の脂肪がきれいさっぱり切除されているので、インプラントを入れても上の部分が自然にならない、と説明されました。
重力でインプラントが下に引っ張られ、上の部分の縁が波打つようになるらしいです。
せっかく前よりも美しい胸が出来ると信じて疑わなかったのに…(涙
どうやら○研、○ンセンターの患者は、根こそぎ取られちゃうらしいです。
疑わしきものは残さず、ということなのか、とにかく生存率アップのためなのかはわかりませんが、再建したいという希望は伝えてあったので、いまさらですが病院を選ぶ基準になるのかな、と思いました。
それにしてもSYNDIさんが言うドクターの信念を聞き、かなり安心しました。
私は9月の予定です。頑張りまーす!
SYNDI
★Chamiさん
鎖骨の下がふっくらしないのは悲しいけど現実です。
あたしの体型はもともとぽっちゃりとしたタイプなのですが、そこだけあばらが浮くというか、そういう感じ。
もしかしたらものすごく痩せた人がインプラントで豊胸しようとした場合も同じ問題が出るのかも。つまり、バッグの角が表面に出て不自然になるというようなことです。
脂肪を根こそぎ取るかどうかが病院によっても違うというのは・・・・患者はホントにどこまで知っておくべきなのか、悩みますね。
もちろんガンが浸潤したところはきちんと取らないとならないけれども・・・。
あばらが浮いていても、バッグが入ったあとはひいき目で見れば女性の胸らしく見えますし、服を着たら全然わかりません。
今はへこんだところに「ふっくらしろふっくらしろ」とか、余計なところについたお肉に、「あの部分に移動するようにしなさい。ついでに、健側の胸にも移動してボリュームを与えなさい」と”言い聞かせて”おります。
全然科学的じゃないですけども、自分の体ですからね。
ある程度言うことを聞くのではと思うのよ。
Chamiさんの再建がうまく行きますように!
ドクターの自信と確信は本当にすごいものだと思います。