どんな感じか喩えるならば

 麻酔が効いて痛くなくなった乳首形成手術の話のつづき。

 健康なほうの乳首と乳輪から、必要な皮膚をはがすのですが、何をされているのか、まるでわからなくなっています。

 だけど限定的な場所だけに麻酔をしているわけですから、”何かされている”のはわかります。
 切ってるんだな、とかひっぱっているな、とか、今圧迫されるような感じがあったのは、血をふき取ったんだな、とか・・・。

 じじーっと五感を研ぎ澄まして、「こりゃー不思議な感覚だなー。どんな風に言い表したらいいのやら」と考えていたら、助手の人が「大丈夫ですか?ご気分は悪くないですか?」と話しかけてきます。

 「大丈夫です」と答えます。どうも黙っていると定期的に「大丈夫ですか?」と聞かれる決まりになっているようです。
 
 しかし、あたしはあたしで色々考えることがあり、寝てるんだけど忙しいわけです
「うーん、なんだろうな、この感覚は?」と考えるのに忙しいのです。

 その時唐突にカラスの黒々とした姿が、脳裏に浮かびました。
 そうだ。なんかこれって、カラスにつつかれているみたい。(つつかれたことないけど)

 何というか、あたしはもう死んじゃって、どっかに横たわっていて、カラスが乳首のところをつついている。
 死んじゃっているからもう痛くないけど、つつかれているのはわかる、みたいな、喩えて言えばそういう感覚だわ。
 カラスじゃなくても、ハゲタカとかハゲワシでもいいな
 とにかく鳥だな。うん。

 あたしは自分がチベットの山の上かなんかで鳥葬してもらっている、みたいなロマンチック(?)なビジョンを思い浮かべました。
 「だけどこれをブログに書いたら嫌がられるかもなー」などと現実的なことも考えて、さらに”忙しくしていた”ら、また「ご気分は大丈夫ですか?」と聞かれました。

 もしや黙っていると心配されるのか?と思い至ります。
 もしかして、手術中、ずっとしゃべっていてもいいわけなの?
 先生が、たとえば「うるさい患者だな、集中できないじゃないか」などと思ったりしないのかしら?

 だったらあたしは質問しちゃうぞ、と心に決めて、色んな質問事項を頭の中で整理しました。
 
 つづく。