一番痛いのは・・・

 乳首作る形成のお話のさらなる続き。

 手術室に入りました。
 通常のように仰向けに寝ての手術になります。
 
 部分麻酔で手術をしたことのある方はご存知でしょうが、患者に意識があるといっても、手術中の様子を見学させてくれる、というわけではありません
 少しぐらい見せてくれてもいいのに・・・などとも思いますが、きっと見たら気分が悪くなったり怖くなったりするんでしょうね。

 いったいどのように目隠しをするのかな?と楽しみにしていたのですが、”2種類のコース”があるようでした。
 セッティングをする助手の方に「アイマスクをなさいますか?タオルをかぶせておきますか?」と聞かれました。

どっちでもいいです」と元気よく答えました。

 二つの違いは、天井にあるライトの光が全くわからないか、若干わかるか、という程度のことです。
 「では、タオルをおかけしておきます」といわれました。
 タオルを顔にかけるのは美容院などでおなじみです。
 ただし今回は目を覆うだけ。

 さらに頭の上に、プラスチックの覆いのようなものが設置されます。(あとでイラストを追加しましょう)首から上だけに、もうひとつ”ミニ天井”(天丼じゃありませんよ)がつく、みたいな感じです。
 目隠しをされる前にちらっとみたところによると、上部に穴があいています。(たぶん息苦しくないように)

 棺おけのふたが、顔のところだけ別になっていて、のぞき窓が開いていたりしますが、例えて言えばあんな感じ。
 でも、半透明で洗面道具みたいな花柄がついていたみたいな・・・?
 
 足はタオルか毛布かでくるまれているし、手もベルトで軽く固定されています。
 まさにまっすぐ寝かされたミイラみたいな姿勢。

 その後すぐタオルをかぶせられてもう見えなくなってしまいましたので、見る”見学”は終わり
 あとは耳と他の感覚によるレポートになります。
 

 ドクターの声が聞こえます。どうも助手が用意したものに不備があったらしく、ちょっと叱られています。小さい声ですが、わかります。
 こんなのも、全身麻酔の手術ならもうとっくにわかんないところですね。
 
 その後消毒。冷たいアルコール綿みたいなもので患部をふき取られます。

 ドクターの声があたしの名前を呼び、話しかけられます。
「これから一番痛いところです。切る側に麻酔の注射をします。ごめんなさい、ちくっとしますよ。その後は効いて来るのですぐ痛くなくなります・・・」

・・・という長い台詞の”ごめんなさい”部分で、既に鋭い痛みが走ります。
 だって、乳首だもんね。敏感です。
 
 もう、これははっきり言って汗が出そうに痛い!

 助手の人が”頭の上のカバー”に顔を近づけて「深呼吸してください。すぐ痛くなくなりますから。息はとめないで、口からゆっくりはいてください」などと、お産の時のようなこと言います。
 
 口からゆっくり息を吹き出します。それでも痛いが。

 注射は乳首の周りに沿って、何回か繰り返されました。でも、痛みは毎回ではなくて、ディクレッシェンド、というか、フェード・アウトというか、だんだん弱まっていって、ついには何にも感じなくなりました

「今のわかりましたか?」
わかりません
 今の、といわれたって今があったんだか、今の次にもう次があったんだか、も感じなくなります。
 ホントに麻酔ってすごい。

 というわけで、一番痛いのは最初の麻酔の一発目!です。
 
「痛かったらすぐに口で言ってください。麻酔を足していきますから」と言われます。

 もうそれからはホントに痛くもかゆくもなかったです。

つづく。