絆創膏のかゆいかゆい

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 あたしは皮膚があまり強いほうではなく、なんにでもすぐにかぶれます。何かというと湿疹や蕁麻疹が出たりもします。

 手術の前に、色んな問診があり、その中に「かぶれやすいかどうか」を問う項目があったような気がします。
 
 その時「うわー、最近の病院って細かい気遣いをしてくれるんだなー」と感心しました。
 
 セカンドオピニオンをもらうために行った病院で、組織診断のために太い針を刺したあとも、ドクターは「かぶれるのを防ぐ」ためにと、皮膚にあらかじめスプレーを吹き付けてから絆創膏を貼ってくれました。

 あれは、いわば”スプレーのり”みたいなもんじゃないかと思います。皮膚を糊みたいなものでコートするのです。

 そのおかげで、ほとんどかゆくならずに済みました。
 
 「すごくかぶれ易いです」と自己申告したので、手術のあとも、そういう「スプレー」をかけてからでっかい絆創膏のようなものを当ててくれたようでありました。(意識はなかったけど)
 
 最初の回診の時に、ドクターは「かゆいですか?」ときいてくれました。
 あたしは「あまりかゆくありません。まだ大丈夫です」と言いました。

 そういう処理をしてもらったら大丈夫だった、という過去の経験で、安心していたせいもあります。

 だけどドクターは、「かぶれてしまうといけないから、もう絆創膏は取っちゃいましょう」と言って、「えいっ」とはがしてしまいました。

 え?もうはがしていいの?

 あたしは切ったほうの自分の胸をその時初めて見たのですが、「かぶれてない」・・・だけじゃなくて「傷が見えない」のにびっくりしました。
 
 切ったのは乳輪に沿ってなので、そこにちょっと血が固まっていますが、傷口に関しては切ったということがほとんどわかりませんでした。全体に薄いフィルムのようなものが貼り付けてあって、”縫い目”ってものも見当たりません。
 
 そりゃ色は悪くなってます。内出血のせい?(切ったんだから)
 それにボリュームがなくなってますから、はっきり言って”見覚えのない胸”って感じです。
 
 しかも、感覚がない・・・?

 そうなんです。切ると皮膚の感覚が鈍くなって、その意味でも何だか自分の胸ではないような感じがします。

 もしかしたら、これ、かゆみも感じないんじゃ・・・?とちら、と思いました。

 だとすると知らないうちにかぶれてしまって、あとで大変、ということになるケースもあるのかもしれません。
 知らないうちにかぶれていきなり痒くなる、なんて嫌ですよね。

 絆創膏をはがしてもらった時、あたしは、 
「先生縫い目ってないんですね。糸は使わないのですか?」ときいてみました。自分が帝王切開をした時には「ホッチキス9発」だったな、などと思い出しながら。
(胸にあのステープラーというのはないだろうな、と思いますが・・・おなかの傷のふさぎ方というのは、これに比べるとかなり大雑把ですね)

 「糸は内側には使っているんですけどね」というのがドクターの答えでした。
 
 細かいことはわかりませんが、ごっそりと切り取った部分がえぐれないように、周りの組織を少し動かして形を滑らかにする、というようなことがあるようです。
 そういう色々技術があって、糸も使うけど、表面には糸の縫い目は出てこない、ということなのだと思います。

 ともあれ、絆創膏のかゆいかゆいは、全くありませんでした。
 このように、傷にも皮膚にも最大限の気と技術を使ってもらって、ホントにラッキーだったと思います。

 若い時に皮膚がかぶれてただれ、それを治療するのに当てた包帯と絆創膏にかぶれて、さらにかゆみ止めにつけた薬にかぶれたことがあるあたしは、しみじみとそのラッキーをかみしめました。
 ありがたやありがたや。