おなかを切るよりは痛くなかった

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 手術の様子を覚えていられたらなーっと思いますが、無理です。”経験”といったって、眠らされているんですから、何もわかんないんですね。

 目覚めたら、もうそこは自分の個室でした。
 そばには愛する夫が心配そうに・・・・ではなくて、彼はカメラを構えておりました。

 目をあけたら、その目の前にうちの古ーい(我が家は物持ちがとてもいいのです)、とっても見覚えのある、デジカメが構えられていたのです。

 「また、こいつは面白がって記録写真を撮っているな・・」と思ったとたん、「え?!」という大きな声がしました。

夫はあたしがいきなり目覚めたのでびっくりしたのです。
 単に眠っている”無自覚写真”を撮ろうと思っていたらしいです。

「もう、目が覚めちゃったの?」などというので、
「んんー?さめた」とかなんとか、わけのわからない反応をしました。
「大丈夫なの?」
「大丈夫なんじゃないの?」

 夫によれば、病室に連れてこられた時、看護士さんの誰かに、まあ夕方までは目覚めないでしょう、みたいなことを言われたんだそうです。(あとでそれは誤解か、あるいは冗談だったことが判明)

 それが連れてこられてけっこうすぐに目覚めてしまったので、どうかしたのだろうか?と心配になってすっとんきょうな声を出したらしい。

 このように手術は終わってしまいました。
 手術室にこのベッドのまま運ばれて、手術台に移ったことは覚えています。
 手術着に着替えたり、出産の時と同じようなT字帯というんでしょうか?あの特殊なパンツに履き替えたり、脚がむくまないように白い、特別のストッキングをはいたり・・・それは自分でやったんだか、やってもらったんだか、もうよく覚えていません。

 そのあと眠らされて、その次に気が付いた時には大事なことはすべて終わっているってことです。

 胸のところには大きな絆創膏というか、ガーゼと言うか、物々しいものが張り付いていました。やっぱりちょっと痛みます。
 導尿の管がついていました。
 点滴がついていたかどうか、忘れました。

 点滴の管から入れた薬で眠らされ、ぼやっとしている間に尿道に管をつけられ、いいかげん眠ってしまって知らないうちにのどに管を通されて、呼吸も管理され、脊椎のところに麻酔注射をされて、全身が”痛くない”状態になって、左胸を切開されて、それが終わって、のどの管抜かれて、またもとのベッドに寝かされて、回復室かなんかにしばらく置かれたかもしれません。(そのへん順序も含めてすべてが不明)

 ともかく、自覚が出来る状態になったときにはもとの病室。
 たまたま最初に目に入ったものがカメラだったってのはご愛嬌です。

 導尿の管はすぐにに抜いてくれました。(その時に点滴の管も抜いたのかもしれません)
 ともかく、管類からフリーになるのは大変早いのだな、と理解しました。

「尿の量とのんだ水分はここに記録してください。時間を書いて」と看護婦さんに言われます。
 あとは、化膿止めとか、痛み止めとかの薬の説明をされます。

 起き上がってみましたが、けっこう平気。

 あたしは12年前に帝王切開で子供を産んでいたので、手術らしい手術は2度目だったのですが、このとき思いました。

「おなか切るのに比べたら全然楽だぞ」

 全身麻酔の注射を脊椎のところにするときも、子供産む前は麻酔医に「動かないで!動くと危険ですから!」とか言われてすっごくこわかったけど、 今回は知らないうちにしてくれたし。

 しかしながら、麻酔から目覚めた、とはいえ、頭はぜーんぜん本調子ではありませんでした。
 すぐにうとうとしてしまうのね。

 弟が来ていて、姉が「退屈しているであろう」と思ったらしく、『探偵ナイトスクープ』のスペシャル番組(プログラムの選定は弟本人の好みを色濃く表しています)を録画したビデオを持参してくれたのですが、再生中も途切れ途切れに眠っておりました。

 笑い方も不完全。
 もしかしたら、関係ないところでえへらえへらと笑っていたかも知れない。(だったらこわい)
 せっかく弟の超お勧め番組ですけれどもー。
 ねーちゃん眠いのよ。

 したがって主に番組を見ていたのは付き添いの夫と弟本人ではないかと思われます。
 二人とも『探偵ナイトスクープ』は大好きですからね。
 
 途切れ途切れに眠り、途切れ途切れに関西ギャグに反応して笑う不気味な病人と、そのそばでちゃんと番組を観てちゃんと笑っている関東の男二人、という図ですね。どうでもいいですが。 

 つづく。