細胞は取ったけれど・・・

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

 結局あたしはMRIの検査結果を聞いたその日のうちに細胞とやらの検体を取ってもらって、その結果を一週間後に聞きに行くまでの間に、医者をしている友人などに連絡を取って、どのように動くべきか作戦を立てることにしました。

 で。
 細胞を取る、というのはどういう事をするのかというと、なにやら銃みたいな引き金が付いてる器具で、しこりのあたりを狙ってぷすっと刺して引き金を引くと、器具の方へと”中身”が吸い込まれてゆく、という仕掛けのものであるようでした。

そんなことをやってもらうのは、生まれてはじめてです。
 あたしはその器具をじーっと観察せずにはいられませんでした。
 なんかよくできたおもちゃみたいなその形。
 
 医者はあたしをカーテンで仕切ったコーナーで椅子に座らせ、看護婦さんとふたりで「はい、動かないでー」といいつつ体を支えながら、あっという間にそれをやりました。
 つまりその銃を胸にあてて引き金を引きました。
 角度を変えて3回ぐらい刺したような気がします。

 しかしながら。
 考えてみると、この時、彼らはしこりを狙ってはいるけれど、それはあくまで”目分量”というか、適当というか、触って見て「ああ、ここね」と言う感じで針を打ち込む、という作業をしていたのです。

 針を刺されたときは、やっぱり多少痛いです。一瞬ではありますが、ちくっと鋭く痛い。何度か繰り返すのですから、体だってすくみます
 あたしは椅子に座ったまんまでして、上体は比較的自由です。
 
 これって危なくないか?
 あたしが痛さへの反射で大きく動いたらどうなるんだろう?
 針はかなりの太さだぞ
 
 それに適当過ぎないだろうか?
 「うまく細胞が取れないことがある」と言っていたけど、これじゃ無理もないのでは?
 だって、あたしの場合はしこりが表面に近いからまだしも、もう少し奥にある場合は、その位置まで深く刺すんだろうし、こんなやり方じゃ心もとないよ。

 だけど、その時はあたしは「きっと取りにくい場所にある場合は別のテクニックを使うのであろう」などと勝手な想像をしていたわけです。

 後になって、別の病院で同じ検査をした時に、超音波映像を見ながら慎重に慎重に針を刺す位置を決めてやるのを見て、「ああ、このようにするものだったのか!」と驚きあきれたのですが、この時点では何も知らず・・・・。
 知らないって恐ろしい、ですよ。

 家に帰って、当時11歳の娘に「なんかなあ、こーのぐらいの銃みたいなもんでガンッって撃たれてなあ、細胞取られたんだよ。痛かったよ」と、その様子を描写しつつ話して聞かせました。
 すると彼女は、「ママ、そういうの面白いからmixiの日記に書きなよ。きっとウケるよ」などと言う。
 この「森羅万象何でもネタ主義」みたいなのは誰に似たのやら。苦笑。

 しかし日記に書くかどうかは別として。
 ソーシャル・ネットワーク・システムであるmixiのコミュニティなどで意見を仰ぐのはいい考えだぞ、と思いました。

 古くからの友人がマイミクさんの中にマンモグラフィの技師がいる、というので紹介してくれました。
 その人が乳ガン関係、ガン関係のコミュニティをいくつか教えてくださり、情報があっという間に集まって来ました。

 医者の友人からもメールの返事がありました。
 外科ではなくて、乳腺の専門家に診てもらうべきだ、という意見で、具体的に信頼できる医師の連絡先を示していました。

 近所からも情報が入ってきました。
 去年娘の同級生のお母さんが乳ガンでなくなったが、あの病院にかかっていたそうだ、などと。

 病院の待合室にも情報がありました。
 去年の手術件数と、おととしの手術件数。
 乳房切除24件。
 これはかなり少ない!
「しかも前年度より減っているじゃん」あたしは目を丸くしました。
 評判がわるいのか?

 他の外科手術も、おしなべて件数が減っていました。
 医師の数がかわったりの事情があるのかも知れませんが、ともあれ、この病院で今後の治療を受けないと決心する材料は出揃いました。

 だけどとリあえず、細胞の診断です。

つづく。