乳ガン患者の”元気”について 1

 実はガンなんです、ってことを人に話しますと、しばしばこういう反応が返って来ます。

「でも、元気ですよね」
「全然そうは見えませんね

 それから、乳ガンってものが大変増えていることの証左なんだろうけど、自分の周りの経験者のお話をしてくださる方も多いです。

「その人も乳ガンだったけど今はぴんぴんしてるよー
「一時期は大変だったみたいだけど元気になってるよ」

 そうなのよ。
 確かにあたし元気です。  元気ですとも。

 っていうか、乳ガン患者は、基本的には元気なんですよね。
 少なくとも、周囲の目には元気に見えることが多いと思います。

 それはなぜか?

 自覚症状が不調として現れる病気ではないから。自覚がないんだよーん。

 だから恐ろしいんじゃん?

 もし体が不調だったら、もっと早く気がついたろうなあ、って性質のもんだから。

 自覚的にはじぇんじぇん具合ワルイ時とかなくて、なのに「おっぱいの中にあるそのしこりは悪性のものです」と告知されるのね。
 
 痛くもなんともなくて、元気いっぱーい、かもしれなくても、これこれこれこれってところまで進行しているもようです、早く切ったほうがいいです、などということになっているんですよ。

 「ほんとかよ」って世界ですわよ。
 
 晴天の霹靂?
 字、合ってるかしら?

 で。
 周囲に期待されるようないわゆる”病人らしい”「具合ワルーイ」時期というのは、手術をして(当然若干痛いです。他の臓器よりマシかもしれないけど)入院してて動けない時と、あと、抗癌治療の副作用が出ている時です。
 それの合併症が出てる場合もあります。

 つまり、「治療をしているから、具合が悪い」の。
 治療してなかったら、元気なのです。(笑)

 体の中で、ガンがかなーり進行してしまっていたとしても、治療に踏み切っていなければ、元気。
 

 この大矛盾っていうかややこしさというのは、うっかりすると自分も忘れちゃうんだけどもさ。


 周囲の人は「元気」と「non元気」で認識するから、「よかったよかった元気になって」とか、その時の体調のよしあしで喜んだりしてくださるんですね。

 しかし。
 元気に見えるその患者は、もしかしたら、「治療やめちゃってる」人かも知れないし、あんまりにも薬の副作用が強くてやむなく「中止」している人かも知れないし、もっと言うなら病気っていう現実から逃げている人かも知れないのですよ。

 検査してなくて知らないとかさ。そういう人も元気なわけよ。
 再発が見つかってない時期なんかきっと元気。(うーん、再発って字書くのって、気分わりーな。さすがに。)
 

 もうね、抗癌剤入って、おえーっとか、ぐったりとか、ききーっとかなっていたとしても、それは

「ちゃんと検査してガンがみつかって、治療する勇気あって、治療してもらっている人でーす」

ってことですから、

ラッキーでしたね

というぐらいのことなんですね。

 どうだあたしってラッキーだろう。
 ちゃんとガンみつけてもらって治療しているんだぞ。
 おえーっ。
 みたいな時期もあったですよ。
 
 思い出すなあ。