続・生頭通信再び:抜け毛でしんみり

 髪の毛が抜け替わるにあたり、自分の頭からはなれていく頭髪を見ますと、何だか鼻の奥がつーんとするような、懐かしい気持ちになります。

 ブラシを使って、そのブラシに残った毛ですとか、黒いセーターに落ちて目立つその黄色っぽい毛ですとか・・・見ると遠い昔を思い出すのです。
 ん?なぜこんな気持ちになるんだろう?自分?

 セーターについた抜け毛を取り除くために、ガムテープを出してきて、あたしは気が付きました。
 この毛って、前に飼っていた犬の毛に似ているんだわ、と。

 飼い犬がいたのはもう20年近くも前のことです。
 柴犬で、黄色っぽい毛皮でした。胸のところはクセっ毛があって、波打っていました。ちょうど今のあたしの頭の後ろ側みたいに。

 ああ、この長さといい、色といい、(脱色で)パサっとしちゃっているところといい・・・・タロ(仮名)の毛じゃん?

 家の中でいっしょに暮らしていたから、夏は臭かったなあ。
 セーターというセーター、黒っぽい衣服のすべてにタロ(仮名)の毛がついていて、外出する時は必ずガムテープでぺたぺたとそれをはがしたっけなあ
 手間はかかるが、性格がよくて和む犬だったなあ。

 タロ(仮名)は17歳まで生きましたから、晩年の毛は白っぽくなり、ことに、この抜け毛とよく似ていました

 などとしんみり、自分の髪の毛をガムテープにはりつけてはがしながら思い出す今日この頃。