その日は雨降ってました。
2005年の10月のこと、あたしはセカンド・オピニオンをくれた先生の紹介状を持って、初めて聖路加国際病院に行きました。
聖路加のブレストセンター(乳ガン関係はみんなこの科で扱います)では初診の日ってのが週2日きまっていて、初診専門の先生が面接します。
その日に紹介状を持っていくわけです。(紹介状を持っていない初診の人は5000円余計に払うことになっております)
担当の先生がいる日というのが、表になっていて、病院のwebsiteを見るとチェックできるんだけど、いまいちわかりにくい。お年寄りなどは苦労するでしょう。
早速「ご意見」というところに投稿しておきました。(こんなことだけマメ)
病院までは1時間以上かかります。90分はかからないだろうけど・・・。
朝一番に病院に着こうと思うと、逆算して満員電車の時間帯にJR京浜東北線に乗らないとなりません。
あたしは自宅で仕事をしていますので、満員電車ってほとんど乗りません。だからこれがえらいストレスですの。
しかも雨で、コート着てますから結構暑くて、蒸されたような車内で。
上野で乗り換えて、今度はメトロ日比谷線。
これもぎゅうぎゅう。
それでね。あたしは気持ち悪くなってしまったんですよ。
もうだめ。へろへろ。
しょうがないので築地駅から病院までの間にある喫茶店で少し休む事にします。
コーヒーが気付け薬ってことで。
で。コーヒーで”気付け”したおかげで、大変なことに気がつきました。
「ぐあーん。資料を忘れて来たぞ」
レントゲン写真やプレパラートなどの資料はひとまとめにして、でっかい袋に入って、出掛ける時に忘れないように、家の玄関においてあったのに。
それを診てもらって方針を決めるのに。
「あー、夫に怒られる」
こういうときに、そういう小学生並みの事柄しか頭に浮かばないところが我ながら情けない。
夫は顔つきは優しいがすんごい皮肉屋だからな。世界であたししか知らないことだけどな。
受付を済ませたらおそらくどのくらい待たされるかわかるから、そしたら自分で取りに帰るか?
でも、その元気がなさそう。
重い腰をあげて、 とりあえず受付を済ませます。
近所の病院とはまるで違う巨大な受付けロビーで指示をうけて2階のブレストセンター受付へ。
やっぱり相当待たされる事が判明。
その時点でも気力体力がどよーんとしていましたので、しょうがないのでphsで夫にメールしました。(1階玄関付近だけ携帯OKってことになってます)
「レントゲン写真など玄関に忘れてきた。取りに帰らねばならんようだ」
ついでに、電車で気持ちがわるくなったことを切々と訴えます。
すぐに、「お前何しにそこまでいったんじゃ?」というお叱りの返事が返ってきました。
でも、夫は仕事を中断して、この重大な”忘れ物”を届けてくれることになったのです。
ああ、皮肉屋だけど優しいのかも知れない。
なんて頼りになるんだろう。
安心したあたしは待合室の椅子で”うとうと”休みました。
もしかして寝不足なだけだったのかしら?
大事なものは忘れるし、たかが電車で気持ち悪くなるし。
初日からドジをしでかして、ややへこんだ気分になりました。
しかしながらこれはドジのはじまりでしかなかったようです。闘病は”闘ドジ”でもあったのです。
つづく。