カツラをめぐる冒険5

 その店では、そこで買った製品の場合、カットは安くやってもらえるのです。前髪だけだと500円。
 全体をカットしてスタイリングをやり直すとしても2000いくらかなのよ。

 それで、切ってもらいにもう一度行ったの。
 そのカツラを装着して行こうかとも思ったんだけど「ひきこもりオタク風の女」が電車乗っているのはちょっとコワイので、やっぱりいつものリカちゃん毛髪内帽子でお店に。

 試着室で現物をかぶって出てきて鏡の前に座り、前髪を切ってもらう間、そこの激若いおねーさんとしゃべっていたのですが・・・まず質問。

「なぜここの店は人毛カツラをこんなに安く作れるの?」(2万円台は初めてだったので)

 期待される答えとしては、毛髪を中国などから輸入していて、毛を植える技術者はどこそこの工場で云々・・・・だったんだけど、おねーさんは、激若いだけあって、その辺の生産の事情はご存知ない様子。

どのぐらいするものですか?」と逆に質問なさるので、知っている限りのことを教えてあげました。
 
 カツラの値段はピンからキリまでだけど、人毛だったら、少なくとも7、8万円ぐらいのものだとあたしは思っていたわけです。

 少しいいな、と思うと14万とか17万で。
 ちゃんとしたぴったりのを作ってもらうと、27万とか、最大級のサービスと技術、などというふれこみだと40万円ぐらいです。それ以上のもある。

 どういうサービスかというと、特別の個室の美容室(他のお客さんと顔を合わさないで済む)に予約して行って、頭の型をとって作ってもらって、色も形もわがまま放題にできる・・・・というウワサ。
ウワサよ。あたしは買ってないから。

 メンテナンスもそういう個室つき美容室でやってもらう。染めたり、スタイルを変えたり。
 ついでに生え変わった毛髪のお手入れもしてもらう。
「そういう美容室があるのだそうよ」
と話しながら、「若人よ、世の中は広いのだぞ」という教師ノリの気分になってしまうあたし。
 なんというかオバサン世代のサガ?

 同じ美容の仕事でもそういう特殊なもんもあるんだってことを、働き始めた子でも知らないよね。
 だって、若い女の子なんか、乳ガン自体全く他人事に思えるだろうし
 そんな需要がある事自体、思いつかないだろう。

 だいたいね、この店は「学生はカット無料」、とか”学割”みたいなこと書いてあるぐらいだから。それも黒髪のウィッグのところに。

「この黒髪を学生さんが買うの?」ときいたら、
夏休みにすごく明るく染めてしまったりして、戻っていない時なんかに・・・」という解説をされました。

 つまり・・・・校則をくぐるためにカツラ!って子がいるわけだ。

 ひょえー。あたしも思いつかなかったよ。そんなのはー。
 うちの子だってもうじきだけどな。そういの。

 それにしても、髪が黒ければいいわけか?  どっか間違っていないか?その校則。

 誰かがヅラだってばれて、「ウィッグ禁止」って校則になってしまったら、どうするのであろう?
 先生にもカツラーがいれば問題ないのかな? 
 いや、やっぱりかなり意味が違う気が・・・・。

 よく、もとから茶色い髪を黒く染めるって話も聞くけど、それって、染めること自体は「悪くもなんともない」という意味ですか?
 じゃあ何で茶色く染めるとダメなんだか・・・・ってこんなところで質問してもしょうがないか。

 ともあれ、茶髪隠しの黒髪ウィッグと、ハゲ隠しの医療用カツラには、結構な隔たりがあるわけですよ

 人生がまるきり違う。

 カツラ売っていたり、髪の毛周辺のお仕事してる人は、その両方にまたがって関わる可能性があるわけだけれど。

つづく。