乳ガン患者の元気について 2

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 乳ガン患者は”基本的には”けっこう元気に見え、元気じゃない時は、『治療中』であるからして、むしろそれは前向きな時間なんだ、っていう話のつづき。

 病気を持っている人が、見かけ上元気だったり元気でなかったりすることは、周りの人に多大な影響を及ぼします。

 周囲の人は病気の中身なんかについては、知らないし、くわしい話なんかされてもたいがい覚えられないでしょう?

 だから、その人を心配していれば、会ったりしたときに”元気”か”元気じゃない”かですべてを見てしまう、ということがあります。
 
 だけど、それだけで判断してますとね、けっこう誤解をしちゃうのよ

 医学ってややこしいじゃん?すぐ新しくなっちゃうし。
 素人って、当事者になるまで、あんまり調べたりしないから、病気に関しては、割と「誤解がいっぱい」、という状態なわけですよ。

 何でこんなこと書いているかといいますとね、ある人に、こんな質問を受けたからです。


 その人のお知り合いの話です。
 「彼女は乳がんにかかって、一時期は階段も昇れないほどに弱り、本当に気の毒な様子だったが、”わきの下を切る手術”を受けたら、もう次に会った時には、ぴんぴんしていて、すっかり元気に戻っていた。まるで魔法のような手術だ、と思ったけど、それはどういうものなのかしら?」


 これは、その人がその患者さんに会ったときの様子、元気とか元気じゃないとかいうところだけつなげて見たので、こういうストーリーに見えてしまった、という例なのだと思います。


 想像なんだけど、たぶんその患者さんは、術前化学療法を受けていたんだと思うのね。
 乳腺以外の臓器への転移もあったんだと思います。

 どこまでの転移かはわからないけれど、ともかく手術を受ける前に抗癌剤治療をして、腫瘍を縮小させたり、消滅させたりしてから手術に臨む必要があったケースなのだと思います。

 で。「階段も昇れないほどに弱り」というのは、乳ガンのせいでそうなっていたのではなくて、治療の副作用が出ていた時期だったんでしょう。

 それで、患部を縮小させて、手術をした。
「わきの下を切る手術」というのは、なぜ彼女がそういう表現をしたのかはわかりませんが、たぶん、,腋下リンパ節を全部取った、という意味かと・・・。

 リンパ節に転移がある場合、手術の時に乳房と一緒にここを切除(郭清)することは普通のことです。
魔法とかじゃないです。(笑)

 で。次に会った時は、術後の抗癌剤も終わって、薬が抜けてきていたのではないでしょうか?
 あるいは、術前に強い薬を使ったので、その後は軽い薬だったのかもしれません。

 それで、病気や治療について知らない人には、「手術をしたら、魔法のように元気になってしまった」という風に”見えた”のよね。
 
 しかも「乳ガンってこわい。階段もひとりで昇れないほど弱っちゃうんだ」という誤解付き。

 「だけどわきの下を切ればまたぴんぴんに元気になる」???? 
 
 この”誤解付きストーリー奇跡の手術編”をきいて、あたしは自分も色々と実態とは違って見える可能性があるんだな、と思ったわけ。

 つづく。