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【4年間も太り続けた】

 5年間のタモキシフェン(ノルバデックス)の服用を終えて、次にどうしましょってことを考える間、5年ぶりに無治療生活をおくっている、という話のつづき。

 5年間の間に次々と不定愁訴に襲われ、漢方外来のお世話にもなりました。でもたぶん、あたしの感じた不調なんてものは、そんなに大きなものではなかったのじゃないかと思います。きっとこんなのは普通です。

 ただね、体がかゆい、ホットフラッシュがある、目がしょぼしょぼする、口の中がやたらと乾いて口臭が強くなった気がする、歩くと股関節がぴりっと痛い、毎朝あんよをつってしまってふくらはぎなどがすんごく痛い、などなどの症状の他に、どうにも不愉快なことがありました。
 それはね、ズバリ体重増加です。ホルモン療法を受ける人にはあまり珍しくはないことかもしれません。これは目立ちます。そこがつらい。

 もともとそんな極端に細い人ではないんですけども、でも36で出産して48で病気がみつかるまで、あたしは全然全くデブではありませんでした。妊娠中も6.5キロしか増えなかったし、出産したらたちまち10キロ減ったし(つまりマイナス)、出産するまえも、まあ、高値安定とはいえ、「あたし服によって太って見えるのよね。胸が大きいから。でも少し太ってもウエストは増えないの」とか、なんとか憎たらしいこと言っていられたんですわよ。ほんと、けとばしたろか

 それが、ノルバデックスをのみはじめたら、じわじわじわじわ、薄紙をまとってゆくように太くなってゆきました。だいたい、1年に3キロ~4キロ、順調に増えて行ったのです。そして、4年もの間、着々と増え続けました。そこ、掛け算しない!いや、しなくても見ればわかるけども。

 そんなわけで、今のあたしは、りっぱなものです。(涙目)背が小さいですから、もう思う存分ころっとしています。ウエストのくびれ感など、記憶の彼方。もう忘れそう。いや、忘れちゃいけないって。

 だいたい、治療をしていますと、体に対する感覚がなんとなーく鈍くなります。抗癌剤治療をしているときは、明らかに全身むくんでいて、首などが太くなっていました。だけどとにかく元気がそがれて、それどころじゃない感じ。そのへんのことは今までもさんざん書きました。だいたいハゲて行くのを笑ったりするのに忙しいし。
 それが終わって、あらかた水が取れたころ、ホルモン療法が始まり、今度は水じゃなくて、脂肪が増えて行ったのじゃないかと思います。

 あたしの感覚だと、内臓の中に、びっしりと入り込んだ脂肪が、だんだん行くところを求めて皮下にも溢れてきた、みたいな?
 とにかく人間のカタチがえらいこと変わりました。

 3年目の夏、定期検査の時、主治医に「調子はいかがですか?」と問われて答えました。

 「あの、去年の夏に比べて、明らかに今年のほうが太っているんですけど」
 「それ、よくありませんね

 肥満は、再発のリスクを高めることがわかっているのです。
 この時あたしは中肥満域。乳ガンの検査の時に着ていたブラウスの前立てのボタンが、はじけじゃうどころか、もう絶対とめられません、という状態になってました。そして、その後逃げも隠れもできない肥満域に突入しました。
 全く、貯金もこのぐらい着実だといいんだけどもねえ。

 で。とうとう家族に言われたのでした。

 「何とかしたほうがいいんじゃないのか」
 夫にしてみたら、この人自分の妻だったろうか?と思うぐらいの変化だったかと思われます。
 うーーーーーー。なんとかって、何を?

 つづく。

【話をきいてもらえるだけでいい】

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 今、ホルモン剤をのんでいなくて、5年ぶりに無治療になっている、っていう話の続き。やっほーい。

 この2年、ホルモン剤の影響などについて書こう書こうと何度も思いました。
 だけど、医者に何かを訴えるたびに、それは「果たして薬のせいなのかどうか、証明はできない」、という問題にいつもぶつかっておりましたの。

 たとえばこんなヤツ。

 皮膚がかゆい。やたらとかゆい。もともと皮膚が弱いのだが、症状が甚だしくなったような気がする。(中年というか老年?にはよくある症状だそうで)
 ひっかくと蕁麻疹みたいになって、ばーっと広がり、2時間ぐらいで消える。以前は7月だけだったのに、今じゃ一年中。要するに慢性の蕁麻疹です。(前からあるんじゃ、薬のせいとは言えないといわれちゃう)
 太ってきた。太り続けている。食事を減らしても、前みたいに簡単に体重が調整できない。(中年のオバサンというのはたいがいそのような悩みを持っているため、トシのせいだよと言われちゃうかもなんだけど。しかしね、言っちゃなんだけどあたし子供産んでも50近くなってもそんなには太ってなかったんだわよ)
 のみはじめてから3年めに入ってからは、こむら返りとかアシをつるとか、痛いことがしょっちゅうある。別にビタミンやミネラルが不足してはいないつもりなんだけど、なんかぎしぎしする。同時に 歩くときに股関節が鋭く痛い時がある。そのせいであんまりさっさと歩けなくなった。それで尚更運動不足になる。(中年のオバサンというのはたいがいどっか痛い。これもトシのせいだよと言われそうな症状)
 なんだか口臭が強くなった気がする。(年取って唾液の分泌が減っているんじゃないのか、などと言われてしまいそうだけど)

 その他マイナーなトラブルが入れ替わり立ち代わりありますが、まーどれも更年期にはよくあることじゃん、典型的な不定愁訴じゃん、という話に収束してしまいがちだったのです。
 こういうことに、たとえばだるいとかねむいとか、逆に長く続けて眠れないとか、おしっこ近すぎとか、根気が続かなくなったとか、やたら疲れるとか、あったりするんですけど、「まあ、トシじゃね?」というところに話が落ち着くのね。

 それでもしつこく、診察のたびに、足痛いです、体かゆいです、口が渇きます、目がシバシバします、また太ってしまいました、と訴え続けていましたら、主治医が漢方外来を紹介してくれました。
 これは、乳ガンの手術をしたことのある人だけがかかっているクリニックで、漢方を処方してくれる先生は乳ガンやホルモン治療のことをよーくわかっている、という、まことにありがたい漢方外来なのです。つまり聖路加のブレストセンターと連携しているのですね。

 漢方外来には、それまでにもかかったことがありました。アレルギーの治療のために、です。だいたいどんな感じなのか想像がつきます。
 「そこならいろんなことが相談できますね」
 「いろんなことが相談できます」主治医は請け合いました。

 というわけで院外のクリニックにも行くことにしました。
 考えてみたら、こういう連携したクリニックがあるっていうことは、要望がかなりあるってことなんじゃないかしら?つまり、副作用とも更年期症状とも判然としない小さな不調の繰り返しに悩む患者がたくさんいるってことです。
 なーんだ、あたしだけじゃないじゃんか、と言いたいわけなんですが。
 患者にとっては、それが薬の副作用かどうかを証明するしないは責任の及ぶところじゃないです。不調というものが、とにかくある。それが問題なの。

 もともと乳ガンが見つかる年齢というのは、40代の終わりごろからぐっと増えるのです。それは、ただでさえ更年期による症状が出てくる年齢でしょう。何にもなくても不調になる年齢に、手術やらホルモン治療やらが重なるわけで、患者の日常はけっこう煩わしい。だけど、命にには別状ありません、という状態です。
 その重苦しい日常は、愚痴になるから、あんまり人にも話しません。でも、もしかしたら小さな体調の変化が再発のサインかもしれないって不安もあるから、医者には話をしておきたいのです。

 実はあたしなんかは話をするだけで気がすむところがあります。気がすむ、というのは変な言い方ですけども、患者というのは、自分の体調に関心を持っていますから、医者にもアテンションをはらってほしい。たとえ3分診療でも、ちゃんと話を聞いてもらえれば、それだけでカユイカユイの2割ぐらいはなんだか軽くなるような気さえするのね。

 結果的に、こむらがえりとか、股関節痛とか、慢性蕁麻疹とか、相談してよかったですわ。
 毎朝、あしつって、いててててーとかいって目が覚めていたのが、月に2回ぐらいに減ったし、蕁麻疹も毎晩だったのが、今1日おきぐらいになっています。花粉の季節には鼻水とめる漢方薬を出してもらえます。風邪ひいてもなんかもらえます。
 股関節痛は良くなったり悪くなったりで、今はちょっとダメなんですけど、でも、相談できる場所があるってことがいいです。たとえそこで「それはもう整形外科行ったほうがいいねー」「それは内科行って検査してもらってください」とか言われるんであっても、話をきいてもらえることが、体にいいのよ。ほんとよ。

 つづく。