副作用


 質問してみないと知らされないことというのは山のようにあります。
 それから、トラブルが起きた人以外は結局知らないで終わっちゃう(知らないほうがいいかもしれないんだけど)リスクというのも、あるわけです。

 再建のために入れたシリコンバッグが、正しい位置に収まらず、入れた後に動いて上下がさかさまになってしまう、という・・・・あたしが今見舞われているトラブルですけども、・・・・それも、こういうことになったから対処しているだけで、こういうことにならなかったら、そんなの関係ねー、の世界なのかもしれません。

【術後1年経ったのだった 3】

 あたしの癌はホルモンレセプターが大変強くあるタイプのものだったので、術後4クールの抗がん剤を終えたあとは、内分泌療法;いわゆるホルモン療法に入っております。

 ノルバデックスという、大変一般的なお薬を処方されていて、これで女性ホルモンを阻害しているわけです。

 癌が女性ホルモンを栄養にしてでかくなってしまうタチのものなので、栄養を与えないようにして、成長のチャンスをつぶす、ということですね。


 去年の11月に、患者言葉でいうところの”地毛デビュー”を果たした時、あたしはベリーショートの金髪にしちゃった、という話のつづき。

 まず、何で金髪なんかにしたか?

 いやなことを考えたくない、要するに病気のことをわすれていたい、という心理から来る”選択的もの忘れ”ってのは、実は今でも続いているのですが(それでよくこんなものを書いてるな、と我ながら感心する)、そのほかにも物理的にドジ気味になる時期がありました。

 化学療法・・・つまり抗癌剤を入れている期間です。
 ひどかったわー。

 抗癌剤の治療の影響で、爪の色が変わっているのですが、それがもうじきなくなるところまで来ました。

 抗癌剤の点滴は、4クール受けたのですが、それ以降、爪にストライプ模様がついていました。

 黒い色が出現し、白い爪がはさまって、また黒い色が出て、白くなって・・・・4回分、それが律儀に繰り返されました

 黒い色が出る前に白い爪が現れるのを見て、あたしは「この白いところでは、抗癌剤が体から抜けているのだろう」と思っていました。

 だけど、そうではなかったみたい。
 抗癌剤が終わってから約3ヶ月、新しく伸びた爪はピンク色になっていたからです。

 そうよね。この色だった。
 白いところも、黒いところと同様に、抗癌剤の影響が出ているってことだったんだわ。

 この爪に、あたしはマニキュアなどはしないでいました。
 ずっと観察していたかったからです

 バウムクーヘンみたいで、結構面白い模様でした。
 このバウムクーヘン爪ともそろそろお別れです。


 そしたら、わりとまともなもんがあるじゃないの。
 しかも安いのよ!6000円ぐらいからある。

 若い販売員が声かけてくれるんだけど、試着するには生頭になんないとならない?
 それってためらわれるし。

 パルコのなかで、通路から見えるしな。
 ほかのお客さんビビるとなんだし
 みんな思い切り若そうだからな。
 怖がるかもしれないぞ。

 なので、言ってみました。
「あたし、今抗癌治療中で、頭髪がないんです。この髪もウィグなんです。試着したいけど・・・・」

 そしたら「今、試着室空けます。荷物いれちゃっているから」とかいってな。
 あったんだよ、洋服屋さんと同じカーテンつきの試着室が。(倉庫兼用風だが)

 そこに、鏡もあって。
 おねえちゃんが次々とお勧めのウィグを運び入れてくれるわけです
 洋服屋さんとまったく同じですね。

 で。わかったことがひとつあります。

 生頭の頭髪も順調に伸びていますが・・・・”そろそろリカちゃん毛髪状部分カツラ”には飽きてきました

リカちゃん毛髪の秘密

 何度も申し上げますが、これは帽子の下にかぶるメッシュの内帽子に裾の毛と前髪がついているだけのものであり、キャップや帽子を脱ぐと「”河童”のお皿にメッシュがかかっている」といった様相になるため、帽子が決して脱げない、という不便があるのです。

 あたしはキャップをしこたま持っているのですが、色をとっかえひっかえするのもこう毎日だとつまんない。
 違う頭になりたい。違うあたまに。
 帽子のない頭に

 つば広帽子(これもたくさん持っている)もかぶりたいけど、これを室内で絶対脱がない人というのは、ある種異様なんで、いまいち踏み切れんのであります。

 さりとて、もうひとつ買ってあるカツラは、暑いだけじゃなくて家族の評判がいまいち


「老ける」
「ダサい」
「頭でかっ」
「毛が多すぎてキモい」
「一時代前」

 ここまで言われますとね、「これ4万近くしたのよ」というセリフもかなりむなしい。っていうか、これ、”いまいち”というレベルじゃないって

金髪遊び

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 で。
 金髪にする予定ってのが決まってから、あたし、思い出したわけです。

 確かあたし持っていたはずだ。
 ”金髪スプレー”。

 これは髪の毛にスプレイするだけで、いろんな色の髪の毛になれるって言うシロモノ。
 髪の毛の上に付着するだけのことなんで、シャンプーで簡単に落ちるわけ。
 染めることなくいろんな色が楽しめる。

 演劇の人とかも使うし、パーティーでふざけた仮装をするときにも重宝なのよね。
 あたしは一時期、そんなもんで髪に赤とか緑のメッシュをいれて遊んでいたわけよ。

 今でも東急ハンズとかに売ってるはず。

 それで、その残りがあるはずだ。
 しかも金髪の。
 それを使ってしゅーしゅーすれば、「金髪にするとだいたいこんな感じです」ってことがわかるんじゃん?

 洗面台のガラクタをさぐること5分。
 出てきました。
 とっくに使用期限が過ぎてる金髪スプレイが。

 生頭その後。

 コハゲコウのようであった頭は、ダチョウを経て、オランウータンぐらいになってきました。

 だんだん人間に近づいてきたってことであろうか。
 娘と夫は
「ママもう少し顔が長くないと、サル類には見えない
「いまいちサルとしてはいい形ではないね」
などと真剣に話し合っていたが、それは無視することにします。

 「弱い野球部員」という表現もあんまり家族にはウケないかったな。あたしは運動がからきしダメなので、野球臭がしないのであろう

 だけど、「タワシになってきた」と言ったら「うんそうそう。似てる似てる」
と反応が。

 何だか以前よりちょっと髪の毛が固いみたいで、わさわさっと立ち上がっているからね。(これは、薬が抜けるにつれて元に戻ることが多いらしい)
 タワシといっても、あたしのは、白髪が多いから、なんか白いタワシがフライパンのススで黒く汚れてます、っていう感じなんだけど。

 野球臭はないけど台所臭はするらしいぞ。
 想像つきます?

 で。
 

 なんで「つわりみたいな感じ」という答え方だとちょっと困るかって話のつづき。

 それは、つわりもまた、すごい個人差があるからです。その意味ではあたっているんだわよ。

 だけどね。
 「つわりのよう」という言葉をきいて、例えばつわりが特別つらかった女性は、ことを過大に認識してしまうんですね。
 
 もうね。
 見る間に顔が曇るから。
 「何てつらい思いを・・・・二度とイヤだわ」などとおっしゃり、眼に涙が浮かぶんじゃないかしら、ってぐらい同情してくれてしまったりするんです。

 あたしは別に何も大げさに言っていないのに大嘘ついてしまったぐらいの”効果”があがっちゃうから。

 吐き気には個人差があるっていう話のつづき。

 抗癌剤の副作用として、脱毛の次にユーメイな(?)この「吐き気」ですけれど・・・。

 実はあたしは、あんまり強く出なかったんですわ。
 その代わり長い
 すんごいあいまいーな吐き気がですね、だらだらだらだらと続いていたの

 繰り返しになりますけど、こういう副作用の色々は、ほんとに個人差があるんです。
 だから「吐き気ってこういうもん」という話ではなくて、単なる1サンプルってことね。

 あたしの場合、吐き気止めがきいているんだかいないんだか・・・・

 実はガンなんです、ってことを人に話しますと、しばしばこういう反応が返って来ます。

「でも、元気ですよね」
「全然そうは見えませんね

 それから、乳ガンってものが大変増えていることの証左なんだろうけど、自分の周りの経験者のお話をしてくださる方も多いです。

「その人も乳ガンだったけど今はぴんぴんしてるよー
「一時期は大変だったみたいだけど元気になってるよ」

 そうなのよ。
 確かにあたし元気です。  元気ですとも。

 っていうか、乳ガン患者は、基本的には元気なんですよね。
 少なくとも、周囲の目には元気に見えることが多いと思います。

 それはなぜか?

 あたしボケてた、って話の続き。
 でも「今でもボケじゃんか。っていうかいつも?」という家族の声は無視しよう。

 抗癌剤ってのは、基本的に、分裂が盛んな細胞をいじめる薬なんだそうです。
 ガン細胞は、通常の細胞より分裂が盛んなので、主にそこんところを叩く!すると結果的にガンの息の根が止まる
 治療はそういうことを期待してやるわけです。

 そのために、ついでに髪の毛やツメや、皮膚、粘膜など、やっぱり体のなかで活発に代謝している場所が一緒にいじめられてしまう
 
 それがいわゆる副作用なんですわ、と、あたしは聞かされました。

 ガンを叩く、といっても、手術で病巣はすっかり取っていますから、術前にやるケースとは違って(それをやる場合もあります)、どこにガンがあるかはもうわかんないのね
 
 なんか、畳に隠れたダニを殺します!みたいな(このたとえでいいかな?汗)見えない世界。

 見えないけど、顕微鏡で見ないとわからない、とか、顕微鏡で見てもわからないかもしれないぐらいの小さいガンの”芽”に対して、過酷な環境を与えて、育つチャンスを最大限つぶす、というのが抗癌剤治療の狙いなのです。

 体っていうのは普通の細胞だっていっぱい働いておりますんで、とばっちりを受けてひどい目にあった細胞が色々と悲鳴を上げる。

 だけど、お薬は、ガン細胞も普通の健康な細胞も区別はつけられないわけです

 ガンは、普通の細胞がヘンな風に突然変異を起こして(?)姿が変わって悪さをするようになったやつなんだけども、基本的に”異物”ではないんだもん。体の中の細胞の仲間なんだもん。
 だから、点滴や経口で体に入れるお薬は、「ガンだけ選んできっちり攻撃しまーす」などという器用なことはできないのね

 クラスの中に不良がいても、みんな同じクラスメイトだよー、先生は差別しない!みたいなものかねえ。
差別しないで全員叩きます!特に君らのような活発に動くやつら!おい、観念しろ!ばしばしばし・・・・・(妄想中)。

 で。細胞の活発なところ。髪の毛根、などがいじめられて毛が抜けます。体毛も抜けます。(まつげ、まゆげまでは来なかったけど、こういうところもすっかりやられるような強い薬もあるそうです)

 ツメ、黒くなります。皮膚、ぼろぼろでシミが浮き出し、粘膜関係総じて不調口の中が変視力が落ちる
 体の”原材料”である血液もおかしくなってます。
 白血球が減る。だから、抵抗力が落ちて、病気に感染しやすくなり治りにくくなるといわれています。
 そのため、ちょっとした風邪などでひどい症状に見舞われる人も出てきます。
 このことはずいぶん脅かされました。(あたしはセーフでしたが)
 
 吐き気もありました。
 ただし、これにはかなりの個人差があるようで・・・。

 つづく 

抗癌剤のことについて忘れないうちに書いておこうかと思います。
 
 あたしは化学療法(ECを3週間に一回×4クール)はもう終わってまして、今はホルモン療法に入っています。
 その後血液検査で異常がなかったんで、ノルバデックスっていうかなり一般的なお薬を1日1錠のむ(だけ)という生活になっております。

 ホルモン療法の他は切った方の乳房の再建をしてる途中。
 あたしはこれも治療の一環と思ってます。(保険きかないけど。ぷんぷん)再建については稿を改めて書きます。

 抗癌剤は今だんだん体から抜けてるところなんで、やっぱり日に日に元気になっていくというか・・・・あらためて、あれが体に入っている間はフツーじゃなかったのだにゃあ、と感じています。

 入っている時は、いまいち頭がぼけてたんで(あたしの場合)、どこがどう不調かってことについても、あんまりよく認識していなかったんだわよ。
 脱毛を別にすれば、なんか、”あいまいな”副作用”だったからねー。

 あいまいなんだけど、確かにあたしゃ「具合悪ーい」状態だったわけね。

 ただでさえ低値安定の生産性がさらにどどーん、と下がっていたから。

 もうね、携帯でメール打つとか、そんなこともできなくなってたですね。集中力が落ちて。
 打ってる途中で気絶してたから。
 携帯片手に気絶。
 ふっと眠りに入ってしまう。
(それで気がついたんだけど、あの作業って絶対ストレスかかるよ)

つづく。

生頭通信:14

髪の毛がいよいよ本格的に生えてきた
今は、野球部員ぐらいの長さと密度。ただし、すっごく弱そうな野球部員ね。

マーブル状に白髪と黒髪が混ざっており、つむじを中心にそれが渦巻いている様子は、ロケットから地球を撮影したやつを白黒写真にしたみたいに見えなくもない。
なんせ、とにかく完璧に丸いからな。

いつの間にか汗はしたたらなくなっている。
髪の毛が、雨が降った後の芝生みたいに水分を含んでせき止めてくれるからだ。
だから山に木を植えるのは大切なのね。山に木がしっかりあれば土砂崩れなし!(連想がそっちに飛ぶ)

先ごろまでくっきりと見えていた頭の形が今は生えてきた髪の毛のせいでおぼろにかすんで見えるため、ここ数日は娘に「オボロゲ」という名で呼ばれている。

ハゲ結露」→スキンヘッドに浮かぶ汗があたかも結露しているかに見えたため、娘が、ママ、頭が結露しているよ!と発言したことからついたあだ名。

コハゲコウ」→ちょっと毛が生えてきた様子が、コハゲコウという絶滅の危機に瀕している鳥の頭に似ていることから夫がつけたあだ名。

オボロゲ」 →説明は上記に。(ためいき)現在のコンディションね。

どの名前も気に入らんぞ。
ふん。

生頭通信13:

だいぶ毛が生えてきて、娘の評判が悪い

4対1で白髪が多い」なぞと観察しては、いやがっている中学一年生。
うるさーいのじゃ!

君の希望に添って頭剃っていたらだね、あたしゃいつまでもスキンヘッドから脱出できないんだわよ
だから「半端しょもしょも期」は、まあ見苦しいでしょうが耐えるべしです。

すっごく短い白髪が、お料理に入っていたりした場合、それはあたしのものだとわかるので、謝らねばなりません。
細くてまっすぐで中位の長さなら娘の。
長くて波打っていて茶色いのは夫の頭髪ですがな。

超短い白髪が、洗濯物にも時々ついているそうです。
あまりに短いので、見落としてしまうのです。(気がつけばちゃんと取るけど)

つまり、頭髪のというのは、常に抜けているんですわね
ぬけつつ、生えつつ、だんだん元に戻っていくのであろう。

生頭通信12: 07/12

湿度60パーセント頭汗11滴、とつぶやいていたら、夫に、「我が家的には”頭結露11”だろう」と言われた。(注:”頭の結露”;くわしくは次回に)
・・・・日本中に通じない語彙が増えてゆく

ちなみに「ランボー」といったら、我が家的には「ママが袖のない服を着ている」という意味だ。
あまりに二の腕が太いので、袖がないものを着ているとランボーのようにたくましく見えるのだ。

最近そのランボーにも異変が。
昔から二の腕は太いことには太いんだが、以前はそれが「がちっ」としっかり太かったのが、近頃は「水の入った風船のよう」に太くなっているのである。

形的にも、まるでバルーンアートで作った犬の脚みたいに空虚な形。しかし中身は空気ではなく、水がぶんぶんに詰まっている、というというたたずまいなのね。
ちょっと印象はランボーから離れている。

どうやらあたしは「むくんでいる」のだな。
これも薬の副作用なのであろうか?

生頭の下に生えている首も、ちょっと前まで、室伏某のようにアゴからまっすぐ、同じ幅で肩につながってしまい、「おっさん首」の様相であった。
たぶんリンパ腺が腫れて首が1.3倍ぐらい(ちょっと大げさ)のボリュームになっていたのだ。

最近それはなくなり、今はほぼ元のように頭よりは細い首、というのが付いている。

だけど腕と手については、確かに形がちがっていて、今は結婚指輪もはずしておくことにした。

外れなくなるとえらいことになるからにゃー。

生頭通信11: 07/10

発見。
頭と言うのはかなりの汗をかいているようだ。
髪の毛が密集していて長い時には、それが汗を含んでいるため、頭全体が湿って、それが少しずつ蒸発して頭を冷やすんだろうと思う。

しかし、髪の毛がないと、汗をせき止めるものがなく、たらーるたらーりと、首のところに落ちてきて溜まるのであった。

なんっちゅうか、首の後ろのところ、カビみたいに髪の毛ちょろっと生えているところに、赤ん坊みたいにアセモできそうな予感

リカちゃん毛髪は当然ながら水を吸いませんので、汗はその下に滴るもよう

家族は暑さを測るもう一つのモノサシを発見したかのように面白がり、「湿度60パーセント、頭汗11滴」などと言いながら滴る汗を数えているのであった。

生頭通信10: 07/08

暑いので外出から帰ると、すぐに生頭に戻る
それで、その、キャップと付け毛が一緒になって脱ぎ捨ててあるものを見ると、最近は「あ、あたしがある」と思うようになってきた。

家族も「こんなところにママがへちゃっと置いてある」と言う風に思うようだ。
カツラではなく、ママそのもの、がそこにあるように感じられるのだ
そのぐらい見慣れたリカちゃん状毛髪。

ヘアスタイルというものが、人間の印象をほとんど決めているのではなかろうか?
めがねとか、帽子とかもそうだけど。

暑くてうだうだしてて、脱いだウィグをおなかの上に載せたまま昼寝に突入していることがあり、娘もあきれられた。

おそらくおなかにママの頭を乗せたコハゲコウが横たわっているように見えたのであろう。
何だかよくわからんな。

生頭通信9 : 07/08

暑くなってきたら、だんだん髪の毛伸びるの早くなってきた。(ような気がする)
ついこのあいだまでカエルのようにつるつるしていた生頭が、今はダチョウの頭のようになっているのであった。

あたしはダチョウだと言っているが、家族は『コハゲコウ』のようだ、といい、その写真をテーブルのところに掲示している。
どういう嫌味なやつらだろうか。
まあどっちでもいいか。

我が家はクーラーつけていない。扇風機だけで暮らしている。
なぜかと言うと、冷房に当たりっぱなしだと汗が出なくなって夏の後半にばてる、という経験と、電気代の節約。
それからクーラーそのものが、一台壊れたままだ、ちゅうことがある。このままもう一台のほうも壊れると、いざと言うときに死ぬ。たぶん。

ご想像の通り、とーってもとーっても暑いので、生頭+タンクトップ+スパッツ、というスタイルでパソコンを叩いたり料理をしたり絵を描いたりしている。(掃除と事務はさぼっている。ごめんよ)

しかしながら、この格好では宅急便がきたときに、さっと出ることができない
出てもいいけど、こわすぎだろうにゃあ、と思うのである。

あたしゃ二の腕が異常に太いため、タンクトップを着るとまるでシルベスタ・スタローンの『ランボー』みたいに見えるといわれている。(ごく一部の目撃した事のある人間に)

それから、あたしのスパッツは全部黒で丈はくるぶしまで。
ヴィクトリアズ・シークレットで買ったやつだけど、スタイルの都合により、あたしがはいた姿から連想されるのは力道山である。

ダチョウの頭にランボーの腕がついていて、力道山の下半身なのだ。
しかも全体的に小さい。
想像できる人、エライ。

こわくて鏡を正視できないぜよ。(本人が)

生頭通信8: 07/07

頭に髪の毛がないというのは、それだけで迫力があったりする。
見かけ的に。

それで。その迫力のある姿だと、洋服との調和がなかなか測りにくい。難しい事が起きるのである。

通常の時、あたしは、洋服を選ぶ→着る→メイクをする という順序で一応の調和をはかりつつ身支度をするのであるが(普通だれでもそうだよね?)、
今は洋服を選ぶ→着る→そのまま生頭でおうちにいる
あるいは、
洋服を選ぶ→着る→メイクをする→帽子とリカちゃん付け毛をセットする(これがお出かけバージョン)
という二通りの身支度をしている。

問題は、現在どちらのバージョンにおいても、洋服を選ぶ時に、付け毛をしていないということで、生頭のまま鏡の前で服を選ぶと、なーんか何もかもが決めにくいのよね。

特にお出かけの時は難しい。
何となく、どの服も似合わないような気がする。
一応、頭の毛をつけた状態を想像して選ぶんだが、そしてたいしてたくさん服を持っているわけでもないのだが、「その日の気分に合った服をきるんだぜい!」という気迫が習慣化しているので、「これでいいのか?ええ?今日はホントにこれでいいのか自分?」という、イライラした疑問がわくわけだ。

さらに。
付け毛がない状態のほうが、色々な作業がしやすい&毛を汚したくないという理由で、生頭のまま先にメイクをする
これがまた難しい。
生頭の迫力に負けないようにと無意識にバランスをとってしまうためか、かなりやりすぎてしまうのが常だ。

眉毛なんかききっとして、アイラインなんかもリキッドでびしっと入れたくなる
色がびゅーっとしたアイシャドウとかのほうが「いいのでは?このほうがいいのでは?」という気分にもなる。
はては何色もの色を、目のあたりにグラデーションしてしまったりする。

で。顔を塗ったあと、まだウィグを着けていない状態ってのが、けっこう怖い顔

ある時、黒い上下にカーキ色のテーラドジャケットを着て、メイクをしたら、何だかSFチックで、それだけで調和が取れてしまっているような気がした。
なんかすごくあやしいけどそういう人がいてもいいわよ、というような似合い方になっていた。

これにウィグをつけると、まあ、なんというか平凡?って感じなんですがね。

それで、生頭のまま娘の前で、「これってありじゃないかい?」と見せてみたら、「わ!何だか似合う」と言う。

だが、そのすぐ後に、「これで痩せていたらよかったのに(以前のように)」と言われた。

SFと生頭は調和するが、
SFと背アブラや腹アブラは調和しないようである

生頭通信7:07/04
自宅で生頭生活を採択する理由は涼しいから、というだけではない。
ずっとかぶっていると「ウィグが臭くなる」というのもある。
人間、汗かくから

何度も登場する、ネットのキャップに裾の毛がついているだけの部分付け毛であるが、あたしはそれを一個しか持っていない
これが汗ででろでろになってしまうと、替えがないんである

幸いこれは毛の分量も少ないので、水でしゃしゃっと洗って干しておけば数時間で乾くため、ほぼ毎日洗って干している。
乾きが早いって面でも、これはホントに優秀。しかもわずか6500円で、うちの母の保険診療による部分入れ歯と同じ値段だ。(関係ないけどな)

だが。さすがにこれだけ使用が激しく、洗いもひんぱんってことになると、少々傷んでくるんだよねー
もともとナイロンの、リカちゃん人形についているような毛だしな。

洗い替えをもう一つ買っておけばいいだけのことなんだけど、何万も出して買って使ってないカツラがあるから、なんか気が引けるんだよね。無駄してるからなあ、間に合っているうちはお金使いたくないなあなどとね。

夫は「早くもう一個買っておきなさい。そうでないと、それがぼろぼろになって、新しいやつに変えたときに、あ、なんか髪の毛新しくなった!みたいな印象になってしまうぞ」とおどすのであった。

生頭通信6: 7/03

生頭にだいぶ頭髪様が復活なさってきている。
おかげでカツラ(部分付け毛つき内帽子)がずれなくなった
要するにヴェルクロ(マジックテープ)みたいにしょもしょもっと生えていて、メッシュキャップにひっかかり、滑り止めになっているのであろう

あたしは昔から(30代のころからだ!)かなりの白髪なのだけれど、ふだんはHennaで染めているので、どこからどこまでどのぐらいの量が白髪であるのか、はっきりしなかった。

あたまのてっぺんはすぐに真っ白になるので、そのへんは白髪占有区域であることはわかっていたが、首筋にちかいところはまだ黒い、と美容院で言われていて、その他のところはごま塩、と言う感じであろうかと思っていた。

このたび、染めた部分がきれいさっぱりない状態で、白髪と残り少ない黒髪の占有関係がはっきりとわかるチャンスが来たといえる。

今のところ白髪面積が圧倒的に多い。 前髪にじゃっかんの黒い部分がなくもない。
さて、いまだつるつるのところにはどっちが生えてくるんだろうかのー。

生頭通信5: 7/02

シャンプーはラクだ。
顔を洗うときの石鹸をあたまに回してくりくりっとやればいいのである。
タオルでごしごしやることもできる。
大変さっぱりする。

化学療法の間、痒い時だけは、バルガスなどの薬用シャンプーとリンスを一滴ばかしずつ使っていた。効果アリ。かゆみが吹き飛ぶ。

頭をごしごし洗っているくせに、胸の方はそーっと泡つけて洗うだけにしていた。(再建のためのエキスパンダーが入っているため、皮がいっぱいいっぱいまで伸ばされていて、押すと痛いからだ)

そしたら、先日、何度目かの水を注入する時に、「垢がたまっています。もっとごしごし洗ってください。汚れがたまると皮膚も伸びが悪くなるし、シミができたりして、色が悪い仕上がりになるから」といわれた。
形成外科って厳しい。

今310CC入っているけど、まだまだ入れるらしい。(健康な胸の1.5倍ぐらいまで大きくして、皮が充分伸びた状態でシリコンに入れ替えるのだという)
胸と言うのはCCで測るものなんだわな。(頭から話がずれているけどご容赦ね)

生頭通信4:7/01

かなりハゲなおっさんのあたまのてっぺんとの共通点は、「日に当たってすこし光っている」ということろだ。

ハゲたて”の頃は長いことヒゲを伸ばしていた人が「剃りましたよ」というのと同じような、あおあおとしたひ弱な皮膚だったし、副作用で皮膚炎が出ている時もあってうろこ状?に毛羽立っている時期もあったが、最近は光っている
 色もついてきた。そこに白髪がうっすら生えているのであった。

ああ、あげたてのてんぷらが食べたい。(単なる音による連想)

生頭通信3: 7/01

ハゲが始まった頃写真で記録も取った
だんだんはげてゆく記録だ。
デジカメで、毎朝 後ろ、横、前、と3枚ずつ撮ったのだ。

最近は変化がないので撮っていないが、ずぶずぶと抜けていく時は、一日で様子がかわるので、段階写真として面白かった。

デジカメのモニターにつぎつぎと映してみると、3方向撮ってあるので、あたしがバレリーナのようにくるくると回りながらだんだんはげて行く、というアニメーションのように見えるのであった。

写真撮る時に三方向なんかで撮ると、そこはかとなく『犯罪者の記録』みたいな感じがするので、それを避けるために、あたしは無理にもニコニコと笑っている

そんなわけで、笑いながらくるくる回りつつハゲてゆく、というなかなかキモおもろいものになっているんだよ。

生頭通信2: 6/30

カツラに関してはメッシュのキャップにすそだけ毛がついている『内帽子』とギョーカイでは呼ばれている例の部分付け毛が、結局一番すごしやすいのでそればっかり使っている。この部分付け毛とニットキャップの組み合わせでおでかけするのだ。
ニットは麻とか、なるべく風通しのいいものにする。

特に暑くなってからはうっかりちゃんとしたカツラ(頭を毛皮が覆い尽くす、っちゅう感じですな)なんかかぶれん。
かぶれるけどもかぶれてしまう・・・ってええいややこしいな。着用することはできるが皮膚炎ができるであろうということじゃ。

部分付け毛であっても、梅雨だし、今年暑いし、やっぱ蒸れる

外出して、帰ってきたとき、キャップと付け毛すわわっと脱いだときは夢のように頭が解放される。
一瞬、たいへんすずしい。
生頭はラジエーターとしても優秀であるゆえな。

メッシュキャップつき部分付け毛で困る事がひとつある。
外で帽子などの売り場を見ることがあるんだけれど、上のニットキャップを脱ぐとかなりこわいということだ。河童のおさらがメッシュ柄になっているのかも、といった風情になってしまうからにゃー。

仕方がないので、帽子の試着もニットキャップの上からやる。相当変わった人しかしないファッションだ。
当然頭の大きさの正確なところはわからんので、いまいちの着け心地。
しかしなあ。帽子は買わないとならないんだわよね。

で。がんばって試着をしてますとね、ずれたり取れたりしたりするんだわよ。
まあ、これは事故ってことで。見なかったことにしてください、ということで。 (ならないか)

前髪が移動する人とか見たら、それ、と思いたまえ。

 脱毛ってのは、抗がん剤の副作用のうち、もっとも有名と思われるものです。

 見た目が変わる、というわかり易さにより、周囲もその人が病気だっていう現実を突きつけられるし、本人も「つらい」「いや」なことだと言うことが多いですよね。
 
 だけど、実際脱毛してみますとね、これが面白いことの宝庫で、どうせならもう少しハゲでいてもいいかな、と思うぐらいなのよ。まあ、あくまであたしの場合ですが。

 自分の頭の形など初めてしみじみ見た。これが完璧に丸くて、ほんと玉のように素晴らしい。

小さい頃から「お鉢の形がいい」って言われてたけど、ホントでしたわ。(自慢)だけど中身の方は結構あやしいのよ。(謙遜

 今まで頭髪の中に隠れていた”シミ”も発見した。ゴルバチョフさんの頭にもあったでしょう。あたしにもあるんですよ。シミ。玉に瑕ってやつでしょうかね?(違うって)
 あんな地図みたいな形してないけどね。

 カツラも未知の世界だったしねー。今もよくわかってないけど。かぶって生活してみないとわかんないことが色々あります。

 「髪の毛は戻るから大丈夫。(悲しまないで)」って感じで何人もの人がはげまして(いや、シャレじゃなく)くれたけど、あのね、別に悲しんでませんってば。

 今現在も、まだ毛が失われてまして、まだ生え戻ってない状態でこれを書いてます。自宅なんで、生頭(カツラを脱いだ状態)でおります

 で。友人に「自宅では生頭で暮らしている」と言ったら、どんな感じだ?って質問が来たので、『生頭通信』ってのを超内輪掲示板に書いて遊ぶことにしました。
 こういう遊びをすると、喜んでくれる人もいます。

 その一部をご紹介しましょう。
 
 まず、あたしの頭の形がいいことから「スキンヘッドが似合いそう」っちゅう意見を複数いただいておりまして、(暗に、その頭ハゲているところ見てみたい、と言われているようなものだが)いっそのこと、剃刀できれいに剃ってしまったらどうか、と提案された。それに対して。

 ****以下、『生頭通信』コピペ*****

生頭通信1:6/30

なまあたまは、すぐ半端な毛がしょもしょもと生えてくるので、剃るのは案外面倒なのである。
ちょっと剃ってみたけど面積がことのほか広い。
脱毛したことはしたのだけれど、全くつるつるになることはなかったのね。 ちょっとだけ残っちゃったんだね。

ところが半端に生えているというのがけっこう怖い。
口の悪い中学生の娘に、「地獄絵に出てくる餓鬼のようだ」とか「妖怪のようだ」とか「死体のようだ」「マジキモイ」とか色々いわれ嫌われるので、一度は美容院で思い切りスキンヘッドにした。

一休さんというか瀬戸内寂聴というか、あるいは、オースティン・パワーズに出てくるミニミー?(チビだからよ)みたいな感じになり、その時は娘は「ましになったましになった」と喜んでいた。

しかしながら、すぐ生えてくるわけよ。だけど生え方はまだちゃんとしていないのよ。

「半端なのいやー。またつるつるにしてきて」って娘は言うんだが・・・・しかしね。そうするとあたしはいつになったら毛が生えそろうんだよ?
今それが問題になっておるのじゃ。

元に戻る過程で、どうしても半端ってのはあるんじゃないのかね?

 今、あたくしはカツラ生活をしています。
 髪の毛があんまりない、というかまだ生えていないからです
 
 手術のあと、抗癌剤治療をしました。たいしてきつい方ではないかと思うのですが、ECってやつを(なんだか使う薬によって治療コースにいろんなヨコモジ名前がついてるんです)3週間ごと4クール。

 で。最初の薬を点滴してから2週間たったら、ぼさりぼさぼさと、髪の毛が抜け始めました。
 髪の毛じゃないところの毛の仲間もみんなおおかた抜けました。
 腕なんか、まるで脱毛エステ行ったみたいに、つるんつるんになりました。(おほほほほほ)
 
 「もはやわたしたち、”ふるさと”に全く執着はありませんー」ってな感じで、根性も抵抗力もなく、さようならしていく毛髪たち。

 「うわー。話には聞いていたが、こんなことになるんだわねー」と感心しました。
 だってね、あなた、お散歩しているとするでしょう?あ、なんか頭がかゆいわ、と思って手をやると、その手にお付き合いして、筆が一本できそうな量の髪の毛が頭を離れるのよ。驚くわよ。
 小一時間お散歩して帰ってくると「あら?ヘアスタイル変えた?」ってぐらい、ボリュームが減ってた、なんて日もあってねー。

 それで。
 あっという間に「いかにもガンですー」という頭になりました。
 ですので、あらかじめ用意をしていたモノをかぶることにしました。

 でもね、カツラって難しい。
 つづく。